「一つでも偏差値の高い大学に行けば君たちは幸せになれる」
こんなとんでもない粗悪な言葉が、しかも10代の子供に向けて発せられる空間が日本にはありました。
もしかしたら今でも同じような言葉が飛び交っているかもしれません。
その空間とは・・・予備校です。
90年代初頭のバブル崩壊後、日本の大学進学率は10年間で約40%から約50%へと急上昇しました。
偏差値主義自体は共通一次試験が始まった1978年ごろからあったようですが、1978年から1990年までの大学進学率はほぼ横ばいであることから、90年代というのは日本の受験業界においてもっとも過激な時代であったと言えるかもしれません。
その時代の予備校では、偏差値至上主義、いや偏差値教ともいえる信仰がまかり通っていました。
社会情勢に乗っかって、迷える受験生と保護者の不安を煽るような手法が当たり前のように行われていた時代です。
しかも、さらに恐ろしいことに、冷静に考えればおかしな言葉だと気づくであろう上記の言葉を親子そろって信じこむという現象が日本全国に浸透してしまいました。
端から見れば明らかにおかしな事であっても信じ込んでしまう、これを宗教と言わずして何と言いましょうか。
まさしく偏差値という名の宗教であり、宗教嫌いの日本人がこぞって入信した唯一の宗教と言えます。
偏差値教を布教した予備校業界に関わる私が、こんな事を言うのもどうかと思いますが、ハッキリといいます。
偏差値の高い大学に行ったら幸せになれるなんて事はありません。
偏差値の高い大学に行ったらその後の人生全てがうまくいくなんて事はありません。
偏差値の高い大学に行ったらいい会社に入りやすくなる、これはあります。
ただし、いい会社に入ったら幸せになれるなんて事はありません。
偏差値では人の人生の幸福度は測れません。
自分の人生の幸福度を偏差値に託すような考え方をしていては幸せになんてなれません。
偏差値という宗教から脱却し、自分がやりたい事を自分で見つけ自分で達成できる、そんな若者を輩出できるよう、今後も指導をしていきます。