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国語が苦手な人の傾向

東進衛星予備校米子東校には多くの高校生が学習相談にいらっしゃいます。

皆さん勉強について何かしらの問題点を抱えていて、それを解決しようとされています。

その中で割と多いのは「英語や数学はできるけど、国語だけができない」という相談です。

今日は国語、特に現代文が苦手な高校生の傾向と、その対策について書いていこうと思います。

 

「普通に読んで、普通に解いてるだけです」

現代文が得意な生徒に何故そんなに点が取れるのか、どうやって解いているのかと聞くとこんな答えが返ってくることが多いです。

しかし、現代文が苦手な生徒だって普通に読んで、普通に解いてるはずなのに、どうして点数に大きな差が出るのでしょうか。

 

答えは、現代文が苦手な生徒は普通に読んでないんです。

いやいや、普通に読んでいますよ!!という声が聞こえてきそうですが、いいえ貴方は普通に読んでいません。

言い換えるなら「ちゃんと」読んでいません。

この「ちゃんと読む」という点が、生徒によって、特に現代文という科目において大きな差があると私は気づきました。

現代文で点が取れない生徒は日本語をテキトーに読んでいるのです。

 

文章を構成する最小単位は文字です。

文字がある一定の順番で並ぶことで意味を持つ単語となります。

そして単語というパーツが文法に則って並ぶことで文となり、

文が連なることで文章となります。

これはあらゆる言語の文章に共通することであり、英語でも成り立ちます。

また、「数学は言語だ」という風におっしゃる数学講師の方がいらっしゃいますが、

確かに数式という言語においても成立します。

文字がある一定の法則の元に並ぶことで、文字の羅列に意味が生まれるのです。

そして、その羅列された文字の意味を正確にとらえることが読解なのです。

 

現代文が苦手な子も、英語を読む時は非常に注意深く読みます。

それは、慣れない英文法というルールや難しい単語や熟語を処理しながら正しい意味を捉えないといけないからです。

数学でも同じです。

問題の解答解説を読みながら、「ここはなんでこうなるんだろう」、「この式は何を意味しているんだろう」と数式という文字の羅列を一生懸命読み解こうとします。

ところがこれが日本語になった途端、英語や数学で見せていた注意深さや厳密性はどこかへと飛んでしまうのです。

理由は簡単です。

日本で生まれ、日本で育ち、物心ついて頃から日本語を使ってきた彼らは、日本語と向き合い、日本語を注意深く読むという行為をする機会が非常に少ないからです。

逆に言えば、注意深く読まなくても大体の意味は解るのです。

そしてなんとなく問題を解くこともできるのです。

文章の大体の意味を取っただけで問題を解く、これをテキトーと言わずに何と言いましょうか。

 

では、どうすればテキトーではなくなるのでしょうか。

私自身の体験談を元に話をします。

私は高校時代、現代文が大の苦手でした。

正確に言うなら小学校の頃から国語自体が苦手でした。

大学受験では古文と漢文に全精力を傾け、現代文はほぼ捨て問扱いをして乗り切りました。

そんな私が今では現代文なら点が取れると言えるくらいにはなりました。

そうなったきっかけは大学時代にあります。

当時、私は「古き悪しき大学生」を絵に描いたような怠惰な学生生活を送っていました。

夜な夜な遊んで寝坊をし、授業をサボって友人に代返を頼むような毎日でしたが、半年に一回テスト期間という季節が巡ってくるのです。

テストで点を取らない限り単位はもらえないので、仕方なく友人からノートをコピーさせてもらいテスト勉強なるものを始めるのですが、いかんせん授業に出席していない私にはノートの内容が全くわかりません。

仕方がないので学期初めに買ってから一度も開かれることなく埃をかぶっていた教科書を開いてみます。

しかし、こちらも意味の解らない単語が並んでいて全く理解できません。

私はほとほと困り果ててしまいましたが、これ以上単位を落とすのはまずいということで教科書をじっくり読むことにしました。

単語の意味を調べ、その調べた先の説明で分からない単語があればそれも調べ、教科書の一単語一単語を丁寧に確認し、一文一文を「つまりどういうことか」が自分で説明できるように読んでいきました。

そして、10時間以上を費やして10ページほど読み進めたところでとんでもない事実に気づきます。

「これ、当たり前の事しか書いてなくね?」

当初、全く意味の分からなかった文章は一つ一つの単語から紐解いて読んでいくと、至極当然の事しか書いてなかったのです。

それ以来、私にとって文章とは「当たり前の事が難しい言葉で書いてあるだけ」の存在になりました。

時は流れ、私がこの仕事を始めたころ、物は試しとセンター試験の国語の問題を解いて驚きました。

あれだけ苦手だった現代文の得点が100点満点だったのです。

今思えば、あの大学時代の怠惰な生活から唯一得られたものが日本語の読解能力だったのかもしれません。

 

この私の経験から皆さんにお伝えしたいのは、一度でいいから日本語を厳密に読んでみてほしいということです。

最初はとんでもない時間がかかってしまうかもしれませんが、それでもやり切ってみてください。

今までとは現代文の見え方が大きく変わるはずです。

そして、ちゃんと読むことに慣れてきたら次はスピードアップを目指すことと、受験的なテクニックを使えるように訓練しましょう。

必ず現代文で高得点を狙えるようになります。

また、大学入学共通テストでは国語以外の科目でも多くの日本語を読む必要があります。

現代文が読めることは他の科目の底上げにもつながりますので、是非とも取り組んでみてください。